トークの後に

1月17日(日)開催の蟲文庫さんトークの参加者募集開始は明日21日(月)の21:00からになります。蟲文庫田中美穂さん、東京初トークです。よろしくー。

詳細はコチラで http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20091218


だいぶ時間が経ってしまったが、11日の金曜日に千駄木の古書ほうろうさんにて開催された音羽館の広瀬さん、往来座の瀬戸君、そして南陀楼さんが司会のトークショー「本を売るだけが古本屋の仕事じゃない!?」に行ってきた。雨降りの中、めったなことではこういうイベントに顔を出さない自分も、瀬戸君の初トークとあらば行かねばなるまい。わめぞ民もほとんど全員が参加。後ろの方の棚の隙間に陣取る。岡崎武志さんが近くの店で酒とおつまみを買って来ていた。武藤良子は酒だけでつまみを買ってなかったのだが、岡崎さんの「すぐそばで売ってるで」という声にいきなり「めんどくせぇからそれちょーだい」と勝手に封を開けてガバッと取るという恐ろしい出来事がひそかに。


トークの内容についてはこちらのブログでどうぞ。
武藤ブログ http://d.hatena.ne.jp/mr1016/20091211
Pippoブログ http://blog.livedoor.jp/pipponpippon/archives/51301484.html


音羽館の広瀬さんとはずいぶん古くからの知り合いである。自分が東京古書会館の、水曜日の古書市場である東京資料会で働いていたころ、広瀬さんは高原書店の店員として月曜日の市場・中央市会で働いていた。当時はまだ店員さんが市場で働いているというのが珍しい時代だった。当時ってどれぐらいだったっけか、15、6年ぐらい前だったか。その後、よみた屋さんが営業していた場所で独立したと聞き、なんらかの用事で初めてお店に行った時にかなり驚いた。すごいお店だったから。広瀬さんは市場で働いている時も寡黙な感じだったし、というか市場で働いているメンバーもこう、俗っぽいし(自分なんかその権化のような存在である)本のことなんか話す環境じゃなかったので、こういうお店をやりたいんだ、とか知らなかったから。広瀬さんは覚えてないかもしれないが、お店を見た後に「広瀬さん、市場で働いてた時、みんなのこと「バカ」だと思ってたでしょ(笑)」と聞いたら「いやいや、そんなことないよー(笑)」と言っていたが絶対思ってたはず(笑)。
 音羽館は、旧来の古本屋を知っている広瀬さんだからこそできた、本当の意味での町の古本屋の進化形だと思う。くだらない分類ではあるが、「オシャレ系」という分類されることなく、きちんとセンスを見せている。しかも神保町的な系譜にない形で。これ、簡単そうに見えて結構難しいと思う。世代によって居づらさがないというか。あぁ、もっとまじめな姿を見せていればよかった、だったら「夜の帝王」みたいに見られなかっただろうに、時すでに遅し・・・。


瀬戸君の発言、凄かった(笑)。瀬戸君は初めの一歩が見切り発車なのである。その一歩が間違えたときに、瀬戸君は前の位置に戻らず、間違えた場所から誠実に言葉を積み上げていく。間違えていることをわかっているのに、誠実なのである。まぁ、瀬戸君は天然キャラの人じゃないのだ。ある意味こわい。
 基本的に、「わめぞ」というのは瀬戸君の物語だ。瀬戸君が最初の飲み会に自分を呼ばなかったら展開は違っただろうし、瀬戸君が外市の開催を引き受けてくれなかったらただの飲み会だったかもしれないし、また、往来座雑司が谷に根をはった店じゃなかったら全然違う展開だったろうし。いきなりたくさんの人間と知り合うことになって初期の外市などでは瀬戸君も心労がかなりだったと思うし、いろんな無理をよく聞いてくれたと思う。多くは語らないけど、自分は瀬戸君に救われた、って意識があるからねぇ。わめぞでいろいろやってきたことを思い出す時に、一番しっくりくるのが瀬戸君の変化なのである。
 古本屋の五年後は?と聞かれた瀬戸君は延々とLED(発光ダイオード)に店の光が変わる!と説明し続けた。そんなことかよ!!と思わなくもないが、なんだか幸せな気分になる。本の業界で今、5年後のことを聞かれてこんな答えを出す人はないだろう(いても困るが・・・)。


ほうろうさんでの打ち上げ後、わめぞ民で目白の「日高屋」に行って飲みなおした。瀬戸君は一番端っこの席で、ぐっすりと眠っていた。そんな姿を横目で見つつ、みんないつも通り豪快に飲み続けた。