外市2周年を想う

いよいよ今週末は今年2回目の古書往来座外市が開催されます。天気が心配ですが、こればかりはどうにも。今日になって土曜日から雨予報が消え降水確率もずいぶん低くなりましたが、まぁあまり信用できないので(笑)当日を待つばかりです。


早いもので、もう2周年です。今回で13回目の開催となります。第1回が開催されたのが2007年の2月24日(土)。様子見で1日だけの開催でした。あの日の寒さは、今でも覚えています。ものすごい風の強い日でした。正直、緊張してしまって夜眠れませんでした。それを当日の朝、往来座の瀬戸君に言ったら「向井さんが緊張? ガハハハハ」と大爆笑され、複雑な気分になったものです(ひどいよ!)。なにより、古書会館とかそういう催事のことしか頭になかったので、開店してすぐにお客さんが来ないのが不安でした。通常の古本市だと、ほぼ最初の人の波で結果が決まってしまうわけです。でも、まぁ、午後から人も増え、今とは比べものになりませんが、思っていた以上に売れました。


それにしても、今改めて思うに、よく瀬戸君が開催にOK出したなと思います。瀬戸君は「枠の中を濃密にしていく」タイプで、こういう外に向かうのはあまり好きではないと思うのです。今だからこそ「なんでOKしたの?」と思う(笑)。外市が始まる直前にこのブログで「外市宣言」(http://d.hatena.ne.jp/sedoro/20070705)というのを書いたのですが、まさに「外、行く?」という外市のキャッチフレーズというのは、「外市、行く?」というのはもちろんのこと、いろんな人それぞれが持っている自分の枠の外へ、という意味も込めて作ったものです。そういう意味では瀬戸君の行動がまさに最初にして最大の「外、行く?」だった気がします。だからね、それ以上を瀬戸君に求めちゃいけないんだね、ほんと(笑)。自分の店を使って、あのようなイベントをやるってのは他人が思ってるよりきつい。プレッシャー、すごいと思う。それなのにいつも、あれやれこれやれ言ってごめんなさい。まぁ、そういうことです。


2か月に一度というハイペース開催ながら、今まで「今回ダメだったなー」というのが無いのは、もう来てくださる皆様のおかげとしかいいようがありません。と、自分が書くと嘘くさくなってしまうので書きたくないのですが(笑)。古本市の後には「売上」という結果が出るわけですが、もちろん全員売れるわけではなく、打ち上げでは「売上発表会」があり、みんなの前で売上が発表され、くやしい思いをするものがいます。それは別に「競争」を煽っているわけではなくて、でも「表現できればいい」とか「参加することに意義がある」というだけじゃない、「好きなことでお金を得る」ということに真剣に向かい合って、プロじゃなくてもそういう「深い喜び」に近づけるようにと思ってはじめました。でも、参加者の気持ちがいつも前向きでいられるのは売りあげの金額じゃなくて、開催中に見る会場に来てくださるたくさんお客さんの背中を見ているからだと思います。たくさんのお客さんのいる姿があればこそ、みんな次はこうしよう、ああしようと真剣になれるのです。ひとりひとりのお客さんの姿だけが、外市の棚を変えていくというわけです。


「わめぞ」なんて、なんのつながりもない、何もない場所で外市をはじめたわけです。それでも続けていたおかげで昨年には地元雑司ヶ谷の商店街さんから御誘いをうけ、「みちくさ市」をはじめることができました。外市の賑やかな風景を見ていただいたようです。他業種の地元の人と、そしてなによりいつもは買ってもらうしかできなかった常連さんと、同じ売る側に立てる場所ができたのがうれしかったです。かなり早い段階から「一般参加型」のイベントをやりたいという希望はあったのですが、なかなかかなわいという思い、足元がしっかりしなかった「わめぞ」という架空のつながり、それを一気に解決できるのが「みちくさ市」でした。今年は「みちくさ市」に力をいれたい、というのはそんなことからなのです。それでも、やっぱり外市は特別なものです。派手さでは月の湯古本まつりや、みちくさ市にはかないません。だけど、外市は故郷みたいなもので、「外、行く?」の精神の根源はこの場所にしかないような気がします。これから生まれるものも、きっとこの外市からなのだと思います。


明後日、2周年記念の外市がはじまります。その先には月の湯、みちくさ、と春の「わめぞ」の大一番が続いていきます。名もない、金もない、仕事で遊ぶしかない自分たち。みなさんも一緒になって遊んでいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。