LOFT9 BOOK FES2016をやる理由

10月2日(日)、ユーロスペースシネマヴェーラの入るキノハウス1階にロフトプラスワンなどを運営するロフトプロジェクトの新店舗「LOFT9 shibuya」にて古本市を開催させていただくことになりました。「LOFT9 BOOK FES.2016」。テラス部分で古本屋の古本市、店内カフェスペースにて岡崎武志さんや古ツアさん、そしてみちくさ市の常連さんなども参加していただく古本フリマ、そしてステージ部分ではトークショーが一日で4本というイベントです。9月2日にe+でトークのチケットが発売になりました。


このイベントはロフトプロジェクトの社員である成宮アイコちゃんが持ってきてくれた話でした。以前より知り合いである石丸元章さんの「ブルーズマガジン」にアイコちゃんは連載を持っており、一周年記念のパーティーで会ったのが昨年。ツイッターでは前から交流もあり、彼女の故郷である新潟の北書店さんには家族で行く関係という共通の知人もあり、ロフトのオフィス帰りに歌舞伎町で飲んだりするようになりました。ある飲み会の時に、アイコちゃんと本の話になり、今度オープンするロフト9渋谷の店内に併設されるBOOKS9という本のコーナーの担当になったのだが、なにもわからないという。こういう人に相談したらー、なんて話の途中で、アイコちゃんが「お店でみちくさ市みたいなのやれたらいいなー」」という話が出ました。面白いねーと答えて、なんとなく数年後にそういうことになったらいいなぁ、みたいな感じに思っていました、その時は。


ある日、アイコちゃんから「上司がやってもいいって」という話が。しかも9月か10月という話で。たしか6月の初めだったと思います。悩みました。とてもありがたい話ですが、そう簡単な話ではないわけで。みちくさ市は商店街さんや地域文化創造館さんが地域支援イベントとして場所を提供してくださっており、基本的には運営費だけ出れば続けていけるものです。しかしながらロフトはライブハウスであり、いわゆる定額の箱貸しは行っておらず、トークイベントで売り上げを出さなければならないビジネス空間なわけです。しかも週末の一日使用は結構な人数の昼夜2回公演分を使うことになり、中仕切りスタイルの50人規模のトークですと4本ぐらいやらないとペイできない感じでもあり。10月にしても結局は前準備いれると8月の半ばにはすべての企画、および出店者が決まっていないといけないので、この過酷な企画を二か月でまとめられるのかは正直不安しかなく。即答はできませんでした。


ここ数年、メンタルも体もあまりにボロボロで、それこそ自分に最後が来ることも意識してしまう日々で。さえない日々を送っているのが実情で。今思えば、早稲田青空古本祭も、みちくさ市などのイベントも、父の負債をかわすだけの事しかできない店の外に自分の店を作っている、そういうふうに誤魔化してきただけなのかもしれないと思います。それが何も解決しないことはわかっているつもりですが、向き合えないことも事実です。そういう言い訳をずっとしてきました。これからも簡単に変えることは無理だと思います。いざ動いてみるとわかるのですが、本当に自分独りでは自分が思っている何百分の一のことさえ、できないものです。実に残酷に事実として提示されます。いや、もう本当に頭をさげてお願いすることしかできないわけで。ここ最近は人のお手伝いをする、ぐらいしか役に立てないと割り切りまして、ささやかにやっています。そう考えるとアイコちゃんの期待に応えてあげたいな、と。かわいい妹みたいな子です。そして自分が、ここで背伸びしないでどうするのかと。居心地良ければそれでいいのかと、考えました、なんとなく。現場担当する立石書店の岡島さん、そして、みちくさ市の主催である鬼子母神商店街の建持会長に企画を話し、みちくさ市の名前を出してやりたいこと、少しばかりの支援をしていただきたいことをお願いしに行きました。本当に会長には頭があがらないです。その後も、自分が助けていただいている皆様にご報告して、少しずつ形ができあがりました(トークの企画についてはまた別に書きます)。火星の庭の前野さん、北書店の佐藤さん、6jumbopinsの京野さんは上京していただけることになりました。また、上京はかないませんでしたが、蟲文庫さん、そして初めてコンタクトさせていただいたトンカ書店さんは本を送っていただくことになりました。本当にありがたいことです。


正直に言って、今までにないほどリスキーなイベントではあります。それでも、ロフトさんはやはりひとつのカルチャー発信の場ですし、そのような場所で本のイベントにたくさんの人が来る、というような状況をロフトの方や、普段と違うお客さんに感じていただけたら、なにか違う展開があるかもと考えています。自分は三流の古本屋です。一流の人は自分の店に精一杯ですから外部になんか目が向かないものです。そんな自分が能書きなく、ただ楽しい場所を作れたらいいなぁと。今回、自分は三流の古本屋を貫きたいと思っています。


眠れない夜の先に、なにかあるのでしょうか。どうかご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

BOOKS 9 × 鬼子母神通り みちくさ市presents
LOFT9 BOOK FES.2016
日時:2016年10月2日(日) 12:00〜22:30(古本市18時半まで)
会場:LOFT9 shibuya
詳細 http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/48398


◆参加店舗 
Book café 火星の庭(from 仙台)、ハナメガネ商会(from 益子)、北書店(from 新潟)、トンカ書店(from 神戸)、蟲文庫(from 倉敷)、古書現世(早稲田)、三楽書房(早稲田)、立石書店(早稲田)、JUNGLE BOOKS(雑司が谷)、ブックギャラリー・ポポタム(目白)


◆古本フリマ参加者
岡崎武志(ライター/書評家)、小山力也(ブログ「古本屋ツアー・イン・ジャパン」)、Pippo(ポエトリーカフェ主宰者)、とみきち屋、つぐみ文庫、ドジブックス、えほんやハコのなか、甘夏書店、レインボーブックス


■Tシャツ販売 6 jumbo pins(from 秋田)
あれよ星屑」でおなじみ、山田参助先生のオリジナルイラスト入Tシャツを秋田のTシャツ工房「6jumbopins」が会場にてシルクスクリーンで受注制作販売。


トークタイム 
e+(イープラス)のチケットページへはこちらから
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/48398


1部 12:30〜14:00 
内澤旬子×服部文祥「ニッポンの銃と獣」
昨年銃猟免許とりたての新米テッポウ撃ちの内澤旬子さんが日本一サバイバルな男、服部文祥さんに撃ち方のコツなどを中心に、素敵な銃猟ライフの満喫方法などを聞くトーク


2部 15:30〜17:00 
清野とおる×サムソン高橋「ゲイが住んでみた東京都北区赤羽
ご存じ『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』の清野とおるさんが、赤羽在住で著書『世界一周ホモのたび』やTBS「クレイジージャーニー」出演で話題のゲイライター・サムソン高橋さんとお互いの赤羽を語るトーク


3部 18:30〜20:00 
いましろたかし×九龍ジョーいましろたかしの世界/いましろたかしと世界」
ここ最近はコミックビーム連載に絵本の刊行、劇場映画の企画・原案、ホラーDVD出演など、かつてなく活動的ないましろ先生に、ライターの九龍ジョーさんが創作の裏側や日々の気がかりまでを伺いながら、私たちの未来にも想いを馳せるトーク


4部 21:00〜22:30 
角田光代×佐藤雄一(北書店)×前野久美子(bookcafe 火星の庭)×原田真弓(ひぐらし文庫) 司会:向井透史古書現世
角田光代の、「本屋」について聞いたり聞かれたり」 

本当はどう思ってます? 角田光代さんが本屋に、本屋が作家である角田さんに「本屋」について本音で質問したりされたりする「LOFT9 BOOK FES.」のラストを飾る打ち上げトーク