神保町へ

ほとんど眠れなかったが朝食を食べているうちにふと思い立って、午前中に神保町へ行くことにした。今月、市場に出品したお金をもらいに。早稲田から東西線に乗って九段下へ向かう。電車の優先席にお父さんと小さな子がいて、窓に貼ってあるシールを指さした子供が「これ、どういうこと?」と聞く。お父さんがイラストをひとつひとつ解説していく。「おじいちゃんおばあちゃん、ケガしてる人、太った人」。最後の、違くないすか、それ……。九段下で半蔵門線に乗り換えて神保町。早稲田から神保町は相性が悪く、乗り換えも全部、ホームを端から端まで歩かなくてはいけない。


市場に出品するときも早稲田の同業者さんにお願いすることが多く、神保町はほとんど来ない。変わったと言えば変わったし、でも昔からあるものにばかり目が行くせいか変わっていないような気もする。ネットなどで見ているからか、初めて見た神保町ドンキもあまりなんとも思わない。古書会館について、事務所で清算して、出品封筒もらって、火曜日だからということもあるけど懐かしい人にも会わず、会館を出る。新刊書店でも、と思ったが、なんとなく気分が上がらず、そのまま帰ってきた。


店を開けて、値付け作業をあれこれと。昼休みは早大生協ブックセンターへ本の追加へ。追加以外にも、ちょっと本の位置を変えてみたりする。他店の棚も直して帰ってきた。夕方、自宅の二階に住んでいるお兄さんが店に来てくれた。もう数年一緒だが、初めてだ。会ったら挨拶するぐらいの関係なのだが、本を一冊買ってくれた。実はこの一軒家が解体されることになり、彼も自分のとこも引っ越さなければならないのだ。最後だから来てくれたのかな。なんだか嬉しかった。


ただでさえ金が無いのに、引っ越しでかなりつらい。暑い夜、そんなことばかり考えている。最近、いろいろなことの終わりを考える。若い頃の刹那的な生き方は悪くない。しかし、年齢を重ねると、何もない。社会が、とか、誰がとか、なにかが悪いわけじゃないのはよくわかっているし、変えられない自分が情けない。夏の夜は長いよね。


10月1日、渋谷・LOFT9にて開催のLOFT9 BOOK FES. 2017のトークが続々発表されております。きらめきの文系アンダーグラウンドを提供します。チケットは9月から発売予定です。

10月1日(日)開催  
LOFT9 BOOK FES.2017
〜BOOKS9×鬼子母神通りみちくさ市

トーク1  coming soon

トーク2 「ヤクザと男色」鈴木智彦さん×山田参助さん

トーク3 「覚醒めよ!」能町みね子さん×サムソン高橋さん×石丸元章さん