明日、仙台へ行きます

火星の庭の前野さんと初めて直接会ったのは2007年2月4日、古書ほうろうさんの店内でした。南陀楼さんの企画で「全国古本女子サミット」というトークショーがあり、その会場です。同じ月の下旬に第1回の古書往来座外市を控えていた時期でした。その少し前にゲストを探していた時に(自分たちだけの力だけで人を集められるなんて思っていなかったため)、偶然に南陀楼さんがなにかでコンタクトしたばかりと話していて、紹介してもらったのが最初でした。岡崎さんが書いていた、後に『女子の古本屋』になる「ちくま」の連載で前野さんを取り上げたのが少し前だったと記憶しています。この間のトークでも話したけど、最初は「こんな人と付き合ったら大変そうだ」と思いました(笑)。それぐらい衝撃的な内容だったわけです(読んでない人、読んでください。すごすぎです)。自分は人に対して臆病なので、関係がはじまるまでが長いのです。遠くから見ているだけという。それでも、なんとなく最初から前野さんとは普通に、電話で「外市に出てください。お願いします」と話せたと思います。で、ちょうどトークショーで上京するというので聞きにいったわけです。その日は挨拶しただけでした。


翌日、2月5日の夕方、前野さんと立石書店で待ち合わせ。会場になる往来座へ案内することに。都電荒川線で行くのが近いと思って早稲田停留所に向かう途中、「お昼まだなのよ」というので、グランド坂下の「モスバーガー」に入りました。そこで初めて前野さんと長話。「こういうことがやりたい」という夢想と、「それにはこうした障害がある」という現実認識と、それら二つが大きな形で同居しており、また、ひとつひとつの事柄に真正面からぶつかる姿勢というか、「うわー、すごい人に出会ったなー」と思いました、ホントに。前野さんは覚えてないかもしれないけど、その時に初めて「いつか、仙台に来てほしいなぁ。一緒になにかできたらいいねー」と前野さんに言われたのでした。「そうですね」と言ってはみたものの、そのころの自分にはなにもなかった。「わめぞ」はあったけど、外市ははじまっていなくて、ただの飲み会仲間のようなものだったわけで。だから「そうですね」といってもなにも具体的なものが思い浮かばなくて、それはものすごく遠い未来の出来事にしか思えなかった。翌日、自分と坪内祐三さんのトークが古書会館であって、新幹線の時間があるのに来てくれて、途中退席して前野さんは帰っていきました。


その後も、前野さんは地道に仙台密着の活動を続け、自分は「わめぞ」一直線になりながら、なにか新しいものをやるときはいつも前野さんに「参加してください」と甘えてきた。電話すると、あの豪快な笑い声で「アハハ〜私でいいの〜」と言いながら毎度即決。やはりしょっちゅう会えるわけではないから電話でよく話します。深夜に電話をすると前野さんもまだ店だったり。いつもすべて受け止めてくれる前野さんについつい愚痴を言ってしまったり。そんなことを思い出すと、いつもシャッターの閉まった店内の記憶ばかりです。


結局のところ、自分は「前野久美子の物語」の登場人物になりたいのだと思う。その人がやっている、提供しているコンテンツ(点)に対してだけの興味ではなく、やっている人の物語そのものへの興味(線)。その人がどのように変化していき何を見せてくれるのか、そういう物語。プロスポーツの選手や芸能人も、いやいや一般人でも、人気というのはつまり「物語の共有」ということだと思う。そういう舞台から消えていく人というのは、コンテンツだけの人気だったということだ。いいものでも、悪いものでも、自分で執筆した「物語」を作れないというのが、ほとんどの人の悩みの根源なのではないだろうか。でもそれが書けるのは前野さんのようにあらゆるものを真正面から受け止め続ける人だけの特権なのだ。有名だろうが、知りあいが多い人だろうが、そういう戦いから逃げている人はいつも孤独なのではないだろうか。自分はいつも励まされながら、あの『女子の古本屋』から現在進行形で続いている前野さんの物語の行く末を見ていきたいのです。そしてできるなら自分個人では背負えないから、「わめぞ」という団体に人が「登場人物になりたい」という物語が生まれるように努力していきたいと思うのです。


あのモスバーガーでの会話から2年4か月。たくさんの仲間に支えられて、ようやく前野さんとの約束を守ることができそうです。今回の旅で、前野さんとの2年4か月、外市をはじめてからの2年4か月を改めて考えることができたらと思ってます。


明日、仙台に行きます。

Book ! Book ! Sendai × わめぞ from 東京 コラボイベント
古本縁日 in 仙台 〜〈わめぞ〉の古本・雑貨市〜

 
古本あり雑貨ありの古本縁日が東京から大移動して、仙台のブックカフェに初登場!マゼランと火星の庭に、「わめぞ」の古本と雑貨がドーーンと並びます。どなた様もたのしめる敷居のひくい縁日気分の古本市です。


■日時
2009年6月20日(土)〜21日(日) 


■会場
book cafe 火星の庭  http://www.kaseinoniwa.com/
6/20 11:00〜20:00  6/21 11:00〜17:00


書本&cafe magellan(マゼラン)http://magellan.shop-pro.jp/ 
6/20 10:00〜19:00  6/21 11:00〜17:00


*2会場ともに入場無料・雨天決行



◎会場:火星の庭=出店者 http://www.kaseinoniwa.com/

古書現世向井透史・早稲田)http://d.hatena.ne.jp/sedoro/
古書往来座(南池袋)http://ouraiza.exblog.jp/
m.r.factory(武藤良子http://www.toshima.ne.jp/~mryoko/
リコシェ http://www.ricochet-books.net/
ハルミン古書センター(浅生ハルミンhttp://kikitodd.exblog.jp/
蟲文庫(倉敷)http://homepage3.nifty.com/mushi-b/
古書文箱(高円寺・古楽房店員)http://d.hatena.ne.jp/collabonet_project/
チンチロリン商店(文系ファンタジックSinger ピッポ
         http://blog.livedoor.jp/pipponpippon/
古書有古堂(ブログ「正式の証明」)http://d.hatena.ne.jp/u-sen/
貝の小鳥(目白)http://www.asahi-net.or.jp/~sf2a-iin/92.html
ハチマクラ(高円寺、雑貨・文具)http://hachimakura.com/

☆店内特設コーナー
文壇高円寺(荻原魚雷http://gyorai.blogspot.com/


◎会場:書本&cafe magellan(マゼラン)=出店者 http://magellan.shop-pro.jp/

立石書店(早稲田)http://tateishi16.exblog.jp/
旅猫雑貨店(雑司が谷和雑貨と本)http://www.tabineko.jp
藤井書店(吉祥寺)
退屈文庫(ブログ「退屈男と本と街」)http://taikutujin.exblog.jp/
パラフィン堂(ブログ「空にパラフィン」)http://mayukoism.exblog.jp/
ブックギャラリーポポタム(目白)http://popotame.m78.com/shop/
魚月(雑司が谷http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/sakanazuki/
海月書林 http://www.kurageshorin.com/