あいおい古本まつり(3)

8月25〜26日に開催の「第4回あいおい古本まつり」のトークの話を、ひとつずつしていきたいと思います。第3回目の今日は、海月書林・市川さんとハルミンさんのトーク(8月26日 13:00〜14:30)について。


市川さんとハルミンさん。自分はこのお二人と、同じ日に初対面を果たしています。もう10年ちかく前になるでしょうか。当時、岡崎武志さんの「家に遊びにおいでよ」を真に受けて、言っていいですか、と聞いたところ「そしたら海月書林さんとハルミンさんが来る日があるからその日おいでよ」と岡崎さんが言ってくれて。当時は自分から見たらめちゃくちゃビッグネームのお二人だったので(今でもあんまり変わらないですが…)ビビりつつ、岡崎さんのご自宅で初対面。後で聞いたら市川さんは市川さんで「組合に入ってるような古本屋さんが来る」と緊張していたそうです。その日は「あー皆さん優しいなぁ」と謎の幸福感に包まれて帰ったのでした(余談ですが、この日、当時古書会館の市場「資料会」の主任だった自分は外部のバイト(市場のちょっとした作業手伝い)を探しており、ハルミンさんに尋ねたところ紹介されたのが現・にわとり文庫夫人のNさん。そこで二人は知り合ったのでした)。その後、なんとなくみんなで飲むようになり、一緒のイベントで本を売ったりして。このお二人から得た人脈は「わめぞ」にとってもとても大事なものになりました。


その後、市川さんは結婚して、パートナーの仕事の都合で福島県へ。それでも、今はもう定番になっている、わめぞと仙台の関係も、はじまりはこのお二人でした。まだ本格的にBook! Book! Sendai がはじまる前に仙台のStockさんで行われた市川さんとハルミンさんのトークショーの司会で自分を呼んでくださって。ここが、わめぞと仙台のスタート地点なのです。猛吹雪の仙台だったけど、楽しかった。この時のことは、今も忘れられない思い出で。


その後もたまに電話したりして。市川さんには子供が生まれ。なかなか動きとれなくて、でも仙台とかで会えるといいねー、なんて話していて。そんな時に、あの震災がおきました。市川さんは避難所生活を少しして、そのまま車で大回りしながら大阪まで後に実家の愛知まで逃げたそうです。自分は連絡がとれず、仙台の皆さんの動向はツイッターでなんとなくわかったものの、市川さんのことはまったくわからず。原発の件もあったので小さな子供を持つ市川さんが本当に心配で。五日後ぐらいでしたか、ブログに無事の文字を見つけてホッとしたことを覚えています。


昨年も関西や会津のイベントなどに本を出したりしていた市川さんですが、本人は実家での生活続きで。去年の仙台の少し前かについに電話して。元気そうだけど、情報遮断していてみんなのことがまったくわからなくなっている。そんな話をしていました。たまに思い出しては電話をかけました。


今回の、あいおいトークはハルミンさんの企画を考えていたのですが、なかなかお相手が決まらず。そんな時にまったく関係ない用事で仙台の書店員・佐藤純子ちゃんに電話した時になんとなく「いいお相手いないかねぇ」と相談したところ、「私、海月さんとのトークだったら見たいな。あの延期になってた本、今月出るみたいですよ」と。本というのは今週発売なった『東北おやつ紀行』。わー、海月ちゃんか!と思ったけど愛知だしなぁ、でも電話してみよ、と電話してみたらなんと近く神奈川に引っ越すと! そんなことあるのか! 電話切ってすぐにハルミンさんに聞いたら「会いたい!」とストレートな言葉。ああ、こういう気持ちが欲しかったんだよな、と思いました。市川さんに、思いをメールで送りました。朝起きたら、「やります」ってメールが来ていました。


市川さん、これからどうするかはまだ考えていないそうです。WEBも前のようなやり方が有効じゃなくなっているしどうかな、と。とにかく、新しい本が出て、関東圏に引っ越してきて、市川さんの新しい一歩が、はじまろうとしています。今まで書いてきたように、いつも大事な一歩をこのお二人にいただいてきました。今回、自分の手で、二人を呼べること、本当にうれしいです。あまりこういうこと言いませんが、皆さん、力を貸してください。たくさんの人で、市川さんを迎えたいと思います。


海月ちゃん、楽しみにしてるぜ、当日。


【あいおい古本まつりトーク
市川慎子海月書林)×浅生ハルミン「東北のおやつ」
2012年8月26日(日)13:00〜14:30
相生の里1F・あいおい文庫にて(月島駅すぐ) 
予約受付開始7月28日〜
詳細>http://aioibooklabo.com/event_tohoku.html